実力の世界であるプロ野球では、毎年ドラフトで若い有望選手が入団する一方で、戦力外として契約を継続してもらえない選手もいます。戦力外通告はどのように決まるのでしょうか。
ドラフト順位にもよるが、与えるチャンスに基準がある
ドラフト1位で入団すればある程度チャンスが与えられるなど、ドラフト上位の選手ほど有利にはなりますが、ファームやフェニックスリーグなど実戦で〇打席・〇イニングといった一定の基準があり、その中で結果や今後の期待を持てる内容を示すことが大切です。
シーズン中から戦力外候補となる選手を検討
球団には支配下選手として確保できる人数が決められており、その中で新戦力の獲得含めやりくりする必要があります。また、次年度だけでなく中長期的に強いチームを作るためにチーム編成を最適化する必要があります。
よって、シーズン終盤を待たずにこれまでの実績や年齢等から戦力外にする選手のリストアップを始めています。
戦力外通告を告げるタイミング
球団が戦力外通告を選手に告げるタイミングは複数の段階に分かれています。第一次通告(10/1からCS開幕前日まで)と第二次通告(CS全日程終了翌日から日本シリーズ終了翌日まで)。そして、単なる期間以上に戦力外選手の「候補」で済むか実際に通告されるかの分かれ目になる大きな要素が「ドラフト会議」です。
ドラフト会議で戦力外候補選手の運命も変わる
ドラフト会議といえばこれからプロ野球に入る選手を運命づける要素が大きいですが、獲得できた選手に応じて既存の戦力外当落選上の選手の運命にも影響があります。
第一次期間では、ドラフトやFA補強等によらず戦力外と決定された選手に早々に告げられます。選手にも生活があり、次の就職先を探す必要があるので早いほど選手のためになります。
第二次期間では、チーム編成上やむを得ず戦力外にせざるを得ない選手が対象となりやすいです。ドラフトで同じポジションの即戦力選手が獲得できたりすれば、どうしても戦力外になる確率は高まってしまいます。
戦力外通告の予兆
戦力外通告を実際に告げられる期間は定まっていますが、選手はその予兆を感じることが多いようです。
戦力外当落選上の選手は2軍にいることが多いですが、たとえばシーズン終盤になって試合の出場機会が減れば、シーズン終了後に戦力外通告を受ける可能性が高いでしょう。また、秋の練習やキャンプのメンバーに入っていなければ来シーズンの構想に入っていない可能性が高いです。この時点ではまだトレードの可能性もありますが、自身の成績などからどちらの可能性が高いのか、選手自身がよく分かっているでしょう。
戦力外を回避しやすい選手
チーム編成には様々な要素がありますが、成績を残せていない割に戦力外になっていないのが不思議に感じる選手もファン目線でいたりするのではないでしょうか。
野手を例に出すと、複数ポジションを守れる選手は1軍であまり試合に出ていなくても戦力外を回避できる確率が上がります。特にコロナによる不確実性もあり、2軍のチーム編成の観点でも、同じくらいの評価であれば複数ポジションをこなせる選手の方が価値が高いからです。
戦力外になっても球団職員として残れる場合も
プロ野球選手引退後のセカンドキャリアが問題視されていますが、球団もそのことは当然認識しており、選手としては引退してもできれば職員として残したい親心はあるでしょう。
しかし、現実には戦力外となる選手全員が球団職員のポストを用意してもらえるわけではありません。もちろん、ポストを用意してもらえても選手が現役続行にこだわったり他の仕事に就きたい場合もありますが、球団職員として残るケースはまだまだ少ないのが現状です。
球団職員として声をかけてもらえる選手は、現役時に野球に真摯に向き合っていたり人間性を評価されたりしている選手です。もちろん、セカンドキャリアを考えてではなく、野球で結果を出すための取り組む姿勢が結果的にセカンドキャリアにもつながれば良いですね。
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