プロ野球という厳しい競争社会では、毎年ドラフトで新人選手が入る一方で「戦力外」によって引退や退団を迫られる選手も一定数います。戦力外通告を受けて、そのまま引退する選手もいますがまだまだ現役としてプレーすることにこだわりたい選手も多いです。
そういった選手の受け皿となっているのが「トライアウト」です。
プロ野球のトライアウトとは
トライアウトは、戦力外になった選手やNPB復帰を目指す選手の「見本市」のような位置づけです。受験する選手が一同に会し、実戦形式のシートバッティング等を行います。各球団のスカウトも集まり、獲得したい選手がいれば連絡が入ります。
NPB12球団のいずれかから獲得してもらえることを「成功」と定義した場合、成功率は2018年から2020年の3年間において平均6%程度と狭き門となっています。
トライアウトの位置づけが変わってきている
約6%の選手だけが現役続行できるトライアウトですが、トライアウトで目立った成績を残してもオファーが来るとは限りません。逆に、トライアウトでは良い成績を残せなくても球団からオファーが来るケースもあります。
理由は、プロ野球は自球団だけでなく他球団の試合もスカウトや編成がチェックしており、シーズン中の活躍や実際にプレーを目にした印象などで獲得したい選手がいるかどうか、トライアウト前の段階である程度メドをつけられているからです。
よって、トライアウト本番でのプレーはあまり結果に影響しないと言われています。
トライアウトを実施する意義
では、トライアウト自体を実施する意味が無く形骸化しているのでは、と思う方もいるでしょう。「現役続行」を見据えるのであれば確かにメリットは小さいかもしれません。しかし、戦力外になる多くの選手は「引退試合」の晴れ舞台を用意してもらえる選手ではなく、トライアウトが実質的に「引退試合」になっています。
プロ野球選手としての自分に別れを告げ、踏ん切りをつけてセカンドキャリアに向かう意味でも、重要な舞台と言えるのではないでしょうか。
また、選手としては必ずしもNPBだけでなく日本国内の独立リーグや海外チームでプレーを続行できれば良いと考えるケースも多いです。トライアウトにはそうした球団のスカウトも足を運ぶため、戦力外の選手が次の道を見つけるうえで大事な場であるのです。
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