【プロ野球】FA制度の人的補償とは

トレード・FA

オフシーズンでは移籍関連の話題が盛り上がりますが、中でもFAでの移籍は実力のある選手の移籍となるため、注目度も高まります。その裏側では、FA選手の年俸ランクによって移籍元の球団への「補償」があり、今回は「人的補償」について解説します。

人的補償とは

文字通り、FAの選手を獲得した代わりに移籍元の球団に補償として1人の選手を譲渡することです。

FAで獲得した選手の年俸ランクによって変わる

FAで獲得した選手には「年俸ランク」があり、元の球団での年俸を高い順に並べて3つのランクに分かれます。日本人選手のみで順番に並べて下記の通りです。

  • Aランク:上位3位まで
  • Bランク:4位から10位まで
  • Cランク:11位以下

該当する選手がAランクまたはBランクの場合、移籍元の球団は「人的補償」を求めることができます。

金銭補償もある

AランクまたはBランクの選手であった場合、「人的補償+金銭補償」か「金銭補償のみ」のどちらかを選択できます。

  • Aランクかつ人的補償+金銭補償:プロテクト外の選手1名+旧年俸の50%の金銭
  • Aランクかつ金銭補償のみ:旧年俸の80%の金銭
  • Bランクかつ人的補償+金銭補償:プロテクト外の選手1名+旧年俸の40%の金銭
  • Bランクかつ金銭補償のみ:旧年俸の60%の金銭

人的補償とプロテクト

人的補償では、移籍先の球団で「プロテクト」の対象とする選手を25名指定します。育成や外国人選手、ドラフトで獲得したばかりの選手を除いた25名を選出し、それ以外の選手から人的補償として獲得する選手を選びます。

25名は多いようにも感じますが、レギュラー以外にも期待の若手選手などをプロテクトしていくと、実力があってもやむを得ずプロテクトから外さざるを得ない選手も出てきます。

参考までに、日本ハムからFA移籍した近藤選手の人的補償に関してはこういった予想があります。

プロテクトリストの選定は苦渋の決断

先の動画にもあるように、25名は広いようで狭き門で、いかに苦渋の決断になるかが分かります。注目すべきは、相手球団の立場に立ってどのポジションや年齢の選手が必要か、あるいは不要かを見極めてプロテクトする選手を選ぶことです。

残り1枠に対して候補が3人いた際、たとえばソフトバンクからするとAという選手が優先度は高いものの、日本ハムではAという選手の優先度が低いであろう場合、戦略的に選手Aをプロテクトから外すという意思決定もあり得ます。

人的補償はトレード?違いは?

人的補償は、選手同士が入れ替わるという点ではトレードに近い印象もあるかもしれません。ただし、FA権を取得した一定の実績のある選手と、25名のプロテクト枠から外れた選手なので実力や実績という点では異なります。

人的補償で移籍した選手の方が活躍すると印象に残りやすいので、「トレード」と揶揄されることもあるようですね。

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